法人破産
法人破産とは
債務者が自ら破産を申し立てることを、自己破産と言います。法人破産とは、破産によって、借金を清算し、会社を消滅させる手続です。
法人格を持つ会社が自己破産を申し立てると、裁判所が申し立てをした会社が本当に債務の支払いが出来ない状態であるかを調べます。
そして支払不能な状態にあると裁判所が判断すると、破産手続開始決定がなされます。
破産手続開始決定後に、裁判所が破産管財人を選任します。
破産管財人は、1年程度かけ、会社の財産を管理し、不動産の売却により金銭をつくり、債権者に平等に分配します。
法人破産の手続きを行う場合、破産によって会社は消滅しますから、それ以降、会社として活動を続けることはできません。
また、破産手続き完了後は、会社に対して債権者から支払いが督促されることはありません。
(但し、個人が保証人になっている場合には、その対象者への債務は、破産手続き完了後にも続きます。下記「法人破産と自己破産の違い」を参照)
法人破産の流れ
@破算申し立て
会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に、破産の申立書類を提出します。
裁判所と事実関係についての状況説明を行い、破産原因があると認められた場合に破産手続きが開始されます。
A破産管財人選任
今後の破産手続きの担当者が裁判所によって決定されます。
B破産管財人による調査換価
破産管財人の事情聴取に基づき、会社財産の処分方法を決定していきます。
C債権者集会
破産管財人より、債権者に対しての報告会が開かれます。
D免責
全ての会社財産を現金化し、債権者への配当が終了したのち、免責を申し立てます。
免責許可が決定されると、全ての借金が棒引きされます。
法人破産と自己破産の違い
自己破産を申請する場合、法人と個人とではとる手続きが異なります。まず債務責任の所在が、個人の場合はご自身にかかりますが、法人の場合はあくまで法人の債務なので個人の義務ではなくなります。
法人の債務の支払義務が及ぶのは法人資産の範囲となり、代表者の個人財産にまで及ぶことはありません。
しかし、会社の代表者や親族が会社の債務の保証や連帯保証を行っている場合には、代表者や親族が自己破産をしない限り、支払い義務は残り、債権者からの督促が続きます。
債務のために代表者が自宅などの不動産を担保に入れている場合は競売手続きをとられることもあります。
これらの請求を受けても、支払不能という状態にある場合、法人とともに代表や債務に関連している親族も一緒に、自己破産申し立てを考える必要があります。
その場合、連帯保証債務だけではなく、消費者金融や借入金、住宅ローンなどの固有債務も含むことになります。
法律上の支払い義務を免れるためには、破産の申し立てとは別に免責の申し立てが必要です。
免責の申し立て後初めて、裁判所により破産に至るまでの経緯などが調べられ、免責を認めることが相当か否かの審査が行われます。
なお、免責が認可されたとしても、税金の支払い義務は残ります。
さらに、法人破産は個人の自己破産とは違い、関連する企業、債権者それにプラスして従業員への対応も考える必要があります。
破産によって事業を停止するのですから、当然従業員を解雇する必要が生じます。
法人破産の難しいところは事務処理が個人破産よりも破格に多いにもかかわらず、大抵の場合、準備期間が短いことです。
会社の場合、利害関係人の種類が多く、個人と違って貸金業者以外の利害関係人が絡んでいるため、莫大な量の事務処理を素早くやらなければならないのです。
当事務所は、法人破産と個人破産両方の手続きに対応しています。
なるべく依頼者様の負担にならない債務整理手法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
司法書士の報酬
業務内容 |
ご費用 |
備考 |
法人の破産申告 | 525,000円 | |
個人(事業者)・法人(休眠会社)の破産申告 | 262,500円 | |
個人(非事業主)の破産申告 | 210,000円 |
※一律料金とさせていただきます。
※司法書士の業務範囲を超えるものについては、弁護士をご紹介いたします。
従業員への未払い賃金の対応について
法人破産の際に懸念されることで一番問題になるのが、従業員への未払い賃金に関してです。未払い賃金を支払う資金がある場合は良いのですが、支払う資金がない場合には、他社の力を借りなければいけません。
財団から支払を受けるか、労働者健康福祉機構の立替払い制度を利用して支払うことになります。
従業員への賃金の対応等を行う場合、タイムカードや就業規則などの従業員の賃金に関係する資料を破産管財人に引き継ぎます。その上で、労働者健康福祉機構や破産財団から算定を受けます。
労働者の債権については、
・破産開始決定日の前3ヶ月間の給料
・破産手続き終了前に退職した者の使用人の退職手当の請求権 のうち、
「退職前3ヶ月間」の給料総額と「破産手続き前3ヶ月間」の給料の総額のいずれか多い方が財団債権となり、支払を受けることができます。
解雇予告手当は、財団債権になりません。
優先的破産債権となります。
ただ、解雇予告手当の支払いがない状態で即時解雇された場合、その後30日を経過するまで効力がありません。
解雇後30日の未払い給料の請求権ということで、財団債権とされる場合もあります。従業員の賞与に関しては、開始決定日前3ヶ月に発生したものは財団債権になります。
従業員でも、取締役兼従業員という立場の場合、給料部分は財団債権、優先的破産債権となることもあります。
名目上の取締役で、実際には通常勤務の従業員と変わらない立場という場合には、給料という形で扱われることもあります。
こちらのサポートをご希望の場合には、別途ご相談ください。